ごあいさつ

新年明けましておめでとうございます。
旧年中に賜りました赤十字血液事業へのご理解、ご協力に感謝申し上げるとともに、今年も変わらぬご支援をお願いいたします。

「正月の 子供に成りて 見たき哉」(一茶)。子供の頃の正月が思い出されます。元旦は祖父母、両親、妹の六人で迎え、新しい綿入れの着物を着せてもらったのを覚えています。我が家の暖房は火鉢しかない時代でした。

「一年の計は元旦にあり」と言います。今年はこんな年にしよう、あるいはこんな年になればいいと考えておられるのではないでしょうか。私自身は平穏な一年であって欲しいと願っています。

NHKラジオ第2放送で日曜日の朝に放送される「こころをよむ」という番組があります。昨年10月~12月にはチンパンジーの研究で有名な京都大学の松沢哲郎先生が13回シリーズで「心の進化をさぐる―はじめての霊長類学」というお話をされました。面白かったのでご紹介します。
先生は、チンパンジーの研究を通して「人間とは何か」を考え続けておられます。人間の体が進化の産物であるのと同様に、心も進化してきたはずです。体の進化の過程は化石が教えてくれますが、「心」の化石は残っていません。そこで先生は人間と他の動物を比較するという方法で「心の進化」を研究してきました。これは、「比較認知科学」と言われる新しい学問分野だそうです。人間の人間たるところは何か?先生が得た答えは「想像する力」でした。

コインを自動販売機に入れるとリンゴが出ることを理解したAとB二人のチンパンジーをそれぞれ別の部屋に入れました。Aの部屋の自動販売機にコインを入れるとBの部屋にリンゴが出てきます。逆にBが自動販売機にコインを入れるとAのところにリンゴが出ます。最初はコインを入れあって、それぞれが助け合う互恵的な協力が成り立ちますが、そのうちAが入れてBが取る、またAが入れてBが取る、さらにAが入れてBが取るということが続くとAはコインを入れなくなります。Bもコインを入れないそうです。二人はたくさんのコインを持ちながら立ち往生してしまいました。利他性、連携、協力、互恵性という関係はチンパンジーでは成立しにくいようです。この関係を作ることができるのが人間の特徴であり特長でもあります。もっとこの特長を活かしてもっといい世の中になって欲しいと思います。

一人の男性チンパンジーが急性脊髄炎に罹り首から下が突然麻痺しました。大変な病気です。多くのスタッフによる献身的なケアが行われましたが、体位を自分で変えることができないため、腰、背中、膝、肘などにひどい床ずれができました。人間なら「これからどうなるのだろう」と不安や悲観的になって当然なのですが、彼はまったくめげる様子がなく、元気な時と同様にやんちゃでいたずらをしては喜んでいたとのことです。この状況をチンパンジーの立場で考えれば、寝込んではいますが人々が何くれとなく世話をしてくれて、バナナやリンゴを食べさせてくれます。「今日、いま、ここで」生きていく上でなんの不都合もありません。人間は想像する力が豊かであるが故に、「このまま寝たきりになればどうしよう」とついつい先のことまで心配し絶望的になることもあります。しかし想像する力があるが故に、たとえ現状が悲惨でも未来を信じて希望を持つことができます。幸いなことに彼は回復し歩くことができるようになったとのことです。

「体験しなければわからぬほど、お前は馬鹿か」。長崎で被爆した芥川賞作家林京子さんによれば、これは絵画で原爆の悲惨さを訴えた丸木俊さんの言葉だそうです(2017年8月9日朝日新聞天声人語)。これが書かれたものを探してみましたが残念ながら見つけることができませんでした。そのためどのような文脈でこの言葉が発せられたのか定かではありませんが、人間には「想像する力」があるという松沢先生の言葉と重なり合いました。私たちはもっともっと「想像する」ことが必要ではないでしょうか。

輸血を必要とする患者さんがたくさんいます。想像してみて下さい。今、どんな思いで輸血を待っているかを。そして知ってください。あなたの献血で助かる命があることを。

平成30年1月
徳島県赤十字血液センター 所長 浦野 芳夫

Let'sけんけつクラブ(複数回献血クラブ)

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